文系学部廃止論争を調べる際の参考資料まとめ【更新:18/01/09】

書籍

新書

「文系学部廃止」の衝撃(2016)

2015年、文科省によって出された通知から端を発した一連の騒動がまとめられている。次の『大学とは何か』はよりコンパクトに大学の歴史等についてもまとめられていて比較的読みやすい本だ。特に第一章で言及される内容によって本論争の経緯を整理できる。

大学とは何か(2011)

『「文系学部廃止」の衝撃』と同じく吉見俊哉さんの著書。12世紀から教皇や皇帝権力や地方都市とのバランスを利用しながら誕生した大学が印刷技術によって一度はアカデミーに取って代わられる「死」を迎えたこと、またドイツの大学改革(フンボルト理念)やアメリカで発明された大学院制度が誕生したことで世界的にその制度が普及していった経緯など物語として楽しくも読むことが出来る本だ((やや物語調にまとめられており、イタリアではまた違った流れで大学が形作られたなどの流れがあるようです。))。

文系学部解体(2015)

美学や記号論を専門とされる室井尚さんの著作。自身が横浜国立大学に教鞭を取ってきた経緯を踏まえて書かれている。旧制大学から新制大学への変遷、そして時代的影響の中で新課程制度として大学の教員養成系学部が編み直された経緯などを当事者としてまとめたものであり、参考になった。

教養主義の没落(2003)

教育社会学者の竹内洋さんの著作。旧制高校時代において如何にして大学キャンパス内において教養主義が一つの規範として成立していたのかを、さまざまなデータや知識人と呼ばれる人々に焦点を当てて解きほぐす試みをされている。大衆化が進む中で読書において人格形成を目指す意味合いでの教養が没落していった過程の一端を垣間見れる。

大学の誕生(2009)

『大学の誕生』から始まり、後に紹介する『高等教育の時代』、『新制大学の誕生』は著者天野郁夫さんによるとテーマは多少違えど、三部作として書かれたものとして紹介されている。

単行本

大学改革という病(2017)

科学哲学者の山口裕之さんの著作。大学の歴史に、大衆化やアカデミック・キャピタリズムについて経済社会の観点からデータも広く引用しつつ、昨今の大学改革の論点を整理してくれる。「文系学部廃止論争」を考える上で、これまで読んできた中では最もおすすめしたいと思う本だった。

反「大学改革」論  若手からの問題提起(2017)

大学改革におけるさまざまな論争がされる中でもっとも関心を抱くのは「若手」であるという問題意識から、分野を越えて13名の著者が寄せてできた編著。『第一章 PDCAサイクルは「合理的」であるのか』で批判的に取り上げられるPDCAは、昨今の新自由主義的ディスコースの象徴とも言えるマネジメントディスコースとして見受けられるものとして注目したい分析だ。

いま、大学で何が起こっているのか(2015)

ご自身のブログでも「文系学部廃止論争」について資料をまとめたり、記事を取り上げ批判的な言及をしてる名古屋大学大学院で文学を中心に研究をする日比嘉高さんの著作。この書籍はそのブログで言及されていた内容を書籍としてまとめたものだった。

大学の反省(2009)

ちょっといわゆる昔の教養主義―古典を読もうとか―といった気色のある本。

グローバリゼーション、社会変動と大学(2013)

東京大学の北村友人教授に「高等教育について学ぶに当たって上記の本以外におすすめはないか?」と聞いたところおすすめされたシリーズが岩波の「大学シリーズ」。

高等教育の時代 戦間期日本の大学(2013)

天野郁夫さんによる著作第二弾。

新制大学の誕生【上巻】――大衆高等教育への道(20)

天野郁夫さんによる著作第三弾。

雑誌等

現代思想 2014年10月号 特集=大学崩壊

現代思想 2015年11月号 特集=大学の終焉 -人文学の消滅-

大学の約束2016-2017

行政府

学術界

大手新聞

Webメディア

  1. 国立大学をどうするのか(NHK時論公論、2015年7月3日)
  2. 国立大学改革の行方(NHK視点・論点 、2015年7月29日)
  3. 変わる社会、大学も改革を 「国立大文系再編」通知の狙い 下村文科相に聞く経、2015年8月10日
  4. 大学に文系はいらないは本当か?下村大臣通達に対する誤解を解く(上)(下)(Diamond Online、2015年8月17日)
  5. 文系廃止でいいのか?(BLOGOS、2015年8月24日)

産業界

  1. 国立大学改革に関する考え方(経団連、2015年9月9日)

ブログ記事

拾ってきた記事