AIとのおしゃべりで見えてきた、「人間らしさ」のヒント

 最近、1日の終わりにClaudeとよくおしゃべりをしています。自分は作業や読書をしながら思考メモをよく残しているのですが、それをネタに実験的な振り返りをしていました。たとえば、編集作業の相談をしたり、アイディアの整理をしてもらったり。そんな中で、AIと人間の違いについて、少し面白い発見がありました。

 まず気づいたのは、AIって最初に与えた情報にかなり引っ張られるということです。乱雑なメモから課題意識に近い考えを引き出すのは得意なんですが、会話を重ねていくと同じようなパターンの返事を繰り返すようになってきます。こうなってしまう理由のひとつは、おそらくAIには「欲望」がないからなのでしょう。

 これって、人間でたとえるなら、いくら優秀な編集者でも、自分の趣味や好奇心がない分野の記事は魅力的に書けないようなものかもしれません。優れた内容の文章は書けても、どこか「心」が足りないような・・・(あれ、これはもしかして自分もやってるじゃん・・・)

 ただ、ここで興味深い発見がありました。AIには、人間でもなかなかできない、すごい強みもあるんです。たとえば、メモ書きから過去と現在の思考を引き出して、パッと違うベクトルに持っていく力がすごい。入力、整理、振り返り、発想の転換といったプロセスを、ものすごいスピードでこなしてくれる。面倒な整理作業を全部やってくれるので、大変便利で頼れるやつです。余計なエネルギーを使わなくて済むから、その分、作業・実行に進む速度が上がっている感覚があります。

 でも、ここでひとつ気づきがありました。継続的な改善プロセスを踏むためには、やはり人間側が主導的に情報を提示する必要があるということです。結局、生成AIは質的なデータが「命」とよく言われるように、斬新な発想や状況の記述をこちらがどれだけ与えられるかで「なにを」「どう」引き出せるかが大きく変わってきます。

 ただ、少なくとも現段階では、なのですが。というのも、最近リリースされたChatGPTのDeep Researchは、検索に限定されているものの、この欠点を少しカバーできる深い推論ができるメカニズムが備わっているようです。

 こうしてAIと付き合っていると、逆に人間の能力のすごさに気づかされます。シンプルに直感や欲望で反射的に動く人間の生態メカニズムは、実はものすごい処理能力なのでしょう。

 仮に、AIが欲望を持たなくても、擬似的な欲望の発露や人格形成の技術を獲得していけば、もしかしたらいまとは全く違うAIとの関係が生まれるかもしれない。そんなことを想像しながら、これからも少しずつAIとの対話実験を続けてみるつもりです。みなさんはどうAIを使っているのか、聞いてみたい今日このごろ。

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