ぼくの目にあるニュースが舞い込んだ。お気に入りの本屋がぼくがいない間に閉店してしまったという。悲しい。圧倒的に悲しい。少し感傷に浸りながらこの本屋との思い出を綴っておきたい。
入学前
入学前に初めてつくばを訪れたのは真夏に行われたオープンキャンパスだった。高校2年生の時である。駅から大学に向かうバスに乗りながら、しょぼそうな本屋を見つけた。
(これは実は「友朋堂」ではないのだが)
その時、生意気にもふっと思った。
「研究学園都市なのだからもっとマシな本屋はあるよなぁ。」
説明会も一通り終わった後に、先輩方の一人に訪ねてみた。すると、言われた一言に正直、ガックリした。
「Amazon使えばいいんだから大丈夫だよ♪」
もちろん、Amazonはよく利用する。だが、ちゃんと本は実物で確かめてから買いたいことの方が多い。ネットの評判は良くても、レイアウトが気に食わなかったりするといくら良い内容でも頭には入って来なかったりする。実際に手に取って確かめることはいくらAmazonが便利だろうとそれは叶わない。
なにより本屋で思わぬ発見をした時ほど嬉しいことはない。この本なんか特にその最たる例だった。
- 作者: 西部邁
- 出版社/メーカー: 時事通信社
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入学後
入学後、大学に一番近い本屋として「友朋堂」があることを知った。最初は家から少し離れていたこともあって積極的に行こうとはしなかった。だけど、時に無性にある本を買いたい衝動に駆られることがある。
もう本当にそんな時はどうにも止まらず動いてしまうのだけどだいたいそんな衝動に駆られるのは本が見つからない時か夜だった。そんな時は自転車を漕いで「友朋堂」まで向かうのであった。というのも「友朋堂」桜店は23時まで営業しているからである。
「こんな長くやっている本屋初めてだぞ・・・」と当時、ぼくはしきりに感動したものだった。しかも探している本がけっこーな頻度で見つかる。不思議と長く居座っていたくなる本屋だった。
いまは大型の本屋がショッピングモールに出来ていたりするけど、そういったところにはない魅力があった。決して邪魔し過ぎない本の配置、棚の高さ、種類。なんとも言えない心地よさを感じていたのである。
閉店にかこつけて
思うに良い本屋とは下手に主張し過ぎずに、それでいてふとした発見をもたらしてくれるところなのだと思う。残念だけど、変わらないものはないしやっぱり終わりがくるのはいつも突然なんだなぁと、しみじみしてためいきつく日曜日だった。