「IT’S A WONDERFUL WORLD」というMr.Childrenのアルバムって知ってますか?
ミスチルの中期?に当たるアルバムなんですけど無性に聞きたくなる時があります。だいたいセンチな時に。笑
このアルバムを一言で表すなら「人間愛」だなって思ってます。
「IT’S A WONDERFUL WORLD」の基本情報
僕が超絶おすすめしてやまない初期ベストアルバム通称「肉」と「骨」が出た後のアルバムでありますが、Amazonレビューでは文句なしの星5となっているアルバムです。
アルバム全体の流れ
このアルバムは優しさと醜さと若々しさが詰まっているなんとも一概には表しようのないアルバムです。
以下だらだらと主観的にアルバムの曲の雰囲気と繋がりを書いたものです。
一曲目の「overtue」はインストメンタルで始まり「蘇生」というポップな応援歌的な歌でまず幕があがります。
しかし、そこで一端落とすかのように「Dear wonderful world」でしっとりどんよりした空気に持って行ったかと思えば、「one teo three」というアントニオ猪木の「1,2,3」を文字ったアップテンポな曲に(実際に最後には本人の引退時の言葉が流れる)。
「one two three」の合図で想い人への別れを叫んだかと思えば「渇いたkiss」では人間らしいとも言えるような嫉妬心をどこかにじませます。
少し鬱屈とした気分になったかと思えば「youthful days」というミスチルにしては少し珍しい瑞々しさと疾走感を全体のリズムとしては感じさせつつも、その中に潜むどこか哀愁じみたものは前の「渇いたkiss」とのつながりを感じさせます。
そして、「昨日君が自分から下したスカートのファスナー」から始まる至極の名曲「ファスナー」でどこか人間同士の暗い奥底に潜むファスナーで閉じられた本当の自分が顔をちらつかせます。さらに「Bird Cage」ではたとえ恋人同士でもいつか来るかもしれない終わり間際の人間模様を「鳥籠」にたとえ叫びを静かに、けれど徐々にボルテージを上げて轟かさせます。
「Loveはじめました」ではこれまで歌われてきた人間の醜さを皮肉を交じえながらも、未知の世界へ誘う「UFO」をどこか救いの象徴と見立ててポップに彩りを添えます。そして、「Drawing」では消えることはないと願いたいがそんな願いの儚さを認識しつつもどこか祈りを捧げ、静かに胸に残響のような穴を開かせます。
「君が好き」ではこれまでの鬱屈を爆発させるように生々しい本音を叫び、次にはそんな甘い世界ではない世の中ではあるけども「いつでも微笑みを」持つ大切さを思わせてくれます。そんな優しさも人との関わりの中に愛を見つけていく中にあると言うかのように「優しい歌」が響き、最後に醜くも美しいこの世界を「It’s a wonderful world」にて祝福してくれているかのようです。
レビュー
冒頭でも言ったようにこのアルバム全体には「人間愛」を感じずにはいられません。
とにかく「人」、特に「恋人」との関係が取りだたされているのですよね。
そして、その良い部分悪い部分を包み隠さず表現してくれています。
全体的にそんなあけっぴろげな音楽が「優しさ」を表現しているように思えます。
個人的にここはミスチルの一つのターニングポイントでもあると思っています。
というのも、これより以前の曲は比較的暗い曲が目立つんです。
ですがここから徐々に最近のポップな印象を持たれるようなミスチル像に変わっていきました。
そのなんとも言えない欝々とした暗さを少し持ちつつもどちらかと言えば、明るさ、つまり「人間愛」を奏でるような絶妙なアルバムとなっています。
僕はタイアップとなった有名な曲よりも「one two three」「渇いたkiss」「ファスナー」「It’s a wonderful world」などの方が印象深く、時に無性に聞きたくなりますね。
特に「one teo three」は僕にとってのテーマソングです。
また「ファスナー」はスガシカオにもカバーされていて隠れた名曲中の名曲なのでぜひ聴いてみてほしい。
最後の「It’s a wonderful world」も言葉に表しがたいほど素晴らしく、どこか闇と光の狭間に射す一筋の道標のように心に残り続ける…
こんな感じで「IT’S A WONDERFUL WORLD」は人間くささとその素晴らしさを一つのアルバムとして表現した傑作です!
※ ただしここから良くも悪くも暗いミスチルから明るいミスチルへと徐々に変化していくのでもあった…
- アーティスト: Mr.Children,桜井和寿,小林武史
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2002/05/10